メロンクリームソーダ

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峯田という人の話

 

「良質なライブ」とは何か。

 

いわゆる「良いライブ」いうものは、世にたくさんある。笑い、泣き、踊り、跳び、思い思いに感情を爆発させるあの場は本当に尊いし美しい。あんな密集空間の中に居ながら、たった一つの共通項以外お互いのことは全く知らないから、同じクラスにいたら相容れなかったであろう人同士も、どこかの嫌味な上司も冴えない平社員も、同じ音楽のもとごちゃ混ぜに楽しむことができる。すごいことだと思う。

それはそれで大好きな景色なのだけど、私の記憶の中にひとつ、どうしても何にも属せないライブがある。「なんだかよくわからないけどすごかったライブ」としか言いようがなかった。

 

銀杏BOYZ、峯田。

 

3年前のUKFC、銀杏BOYZの出演が発表された時、ネット上で結構ざわついていたのは記憶している。(のちに銀杏BOYZとしてのライブは3年前震災後の宮城が最後で、東京でのライブはなんと5年ぶりだったと知る。)

当時の私は恥ずかしながら銀杏BOYZを全然知らなかった。唯一知っていた曲は「東京」、友達のサークルのライブを見に行った時、OBの方が弾き語りカバーしているのを聴いて好きになった曲だった(超上手かった)。

 

 バンドメンバーが離脱し、実質峯田1人のステージとなる。「有名だしライブ見れるのレアっぽいから見とこ」くらいの気持ちだった。なんならその次のBIGMAMAがめちゃくそに好きなのでむしろそっちのことばかり考えていたと思う。今思うと本当にぶん殴りたいし観に行ってなかったら机に頭打ちつけてる。ドビーは悪い子!ドビーは悪い子!!

 

当日の朝、真夏のコーストに現れる「銀杏BOYZ」を纏った涼しげな白いTシャツの一団。[Alexandros]、BIGMAMAthe telephonesなどのTシャツが大半を占める中ではさすがに異質な存在に見えた。あと、ウェイがいない。銀杏BOYZはトップバッター。静かに淀みない足取りで会場に入っていく彼彼女らのオーラと目は、無知な私から観ても本当に「峯田のためだけに来た」って感じだった。

後方の少し高い位置から観れるのは新木場コーストの好きなところだ。いい感じの位置取り。最前線に見える白い帯。なんだか漠然とザワザワする。

本当に曲を知らなかったので、ここからはとてもざっくりした内容になってしまうのだけど許して欲しい。

 

ライブ中に全裸になって警察沙汰になったこととか、全然知らなかった。わたしは、東京という美しい歌しか知らなかった。だから、短パン一丁で現れて第一声「興味ない人帰って」と言い放った峯田に完全に度肝を抜かれてしまった。なんだこいつ…。そんなこと言われたら興味湧いちまうだろ…。

動揺している間にも荒々しく演奏を始め、一曲目から「戦争反対」「原発反対」と歌う。ほ、本当に何なんだこいつ…。頭がついて行かないまま峯田の音楽が頭にぶち込まれて全身を突き抜けて行く感覚。そんな彼の引きちぎれそうな叫びは東日本大震災を経験したこの身をすり抜けることなんて出来なくて、心臓がグッと締め付けられる感覚と、何に対してかも、感動か怒りか悲しみかもわからぬ涙が溜まった。動けなかった。

会場中が異様な空気感だったのをすごく鮮明に覚えている。ついさっきまでパリパーリしてたTOTALFATの時間が遠い昔に感じるほど、どこかの異世界にいる感覚。救いようのないどん底にいるような、かすかに光が見えるような。感情自身が感情をコントロールできなくなっていて、ただただ聴き入ることしかできなかった。

↓ セットリストはこんな感じだったそうです。


01. 人間
02. 夢で逢えたら
03. すばらしい日々(COVER)
04. 新訳 銀河鉄道の夜
05. ボーイズ・オン・ザ・ラン
06. 光
07. なんでこんなに好きなんだろう

 

強。

 

何が起きているのか、この感情はなんなのかわからないまま気付いたらライブは終わっており、放心状態というか、「なんか…スゴイ…」しか言えなかった。苦し紛れの褒め言葉ではなくて、本当に「なんかスゴイ」だった。

時が経って今思うと、その「なんかスゴイ」こそが峯田の真骨頂なのではないのかと思う。何が何だかわからないまま浴びせられた彼のなんかスゴイ音楽に、いつの間にやら魅せられている。そしてその「なんか」は彼が作ってくれた余白なのだと。その音楽から何かを掴みかけたとき、自分の中にある大切な「なんか」をそこにはめ込み、解釈することで、自分だけの歌になる。彼は何も押し付けてこないし、ひとりひとりがその音楽を自分だけのおまもりにする権利をくれている、ように感じる。

 

後にも先にも、あんな感覚になるライブはもうないだろうなと思う。圧倒的だった。あの瞬間、この世界において峯田の完全勝利。何か大きなものを得ているはずなのに何かを抜き取られたような感覚。その凄さと尊さに気付けたのは最近になってからなのだけど。

 

何を以って「良質なライブ」とするかは完全に個人の感覚の話なのだろうけど、私はあの日の銀杏BOYZのライブは「最高に良質なライブ」 だったと思っている。

 

峯田和伸、君は、イリュージョン。

 

素敵な音楽にグッサグサに刺されたい人生!

 

 

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エンジェルベイビーを聴いたら記憶が蘇ってきたので書いた次第です。まだまだ知らないからもっと聴き込みたい。

(本来 峯田さん と言うべきところなのだけど 尊敬の意をしっかり込めた上であえて 峯田 と書かせていただきました。スミマセン)